電流源・電圧源を含む直流回路解析と消費電力の最大問題
2021年4月8日
問題
図1のように電流源、電圧源および抵抗を接続した回路がある。図1の破線で囲まれた部分を図2の破線部分に示す抵抗 \(R\) と電圧源 \(E\) に等価変換すると、\(R=\fbox { (1) } \) Ω 、\(E=\fbox { (2) } \) V となる。
図2から、抵抗 \(R_1\) に流れる電流 \(I_1\) を求めると、 \(I_1= \fbox { (3) } \) [A] となる。また、\(R_1\) で消費される電力 \(P\) は \(P={I_1}^2R_1\) で求められる。
したがって、\(R_1=\fbox { (4) } \) Ω のときに電力 \(P\) は最大となり、\(P=\fbox { (5) } \) W となる。

解答
(1)破線部分の等価抵抗 \(R\)
電流源を電圧源に変換します。これらの等価変換は以下の式で表されます。
$$
\left \{
\begin{array}{ll}
V=r_iI \\[4px]
r_v=r_i
\end{array}
\right.
$$

したがって破線部分の等価変換回路は以下のようになり、等価抵抗 \(R\) は \(R=4Ω\) と求まります。

(2)破線部分の等価電圧源 \(E\)
(1)の解説図より、\(E=16V\)と求まります。
(3)抵抗 \(R_1\) に流れる電流 \(I_1\)
\(R_1\) より左側の回路にテブナンの定理を使って \(R_1\) に流れる電流 \(I_1\) を求めます。

まず、等価抵抗 \(R_0\) を求めます。電圧源は短絡させて考えるので下の図のようになります。よって等価抵抗 \(R_0\) は、
$$ R_0=\frac{2×4}{2+4}=\frac{4}{3} $$
となります。

次に、等価電圧源を求めます。下の図のような閉回路を考え、流れる電流を \(I_0\) としてキルヒホッフの法則を用いると、
$$ 4I_0+2I_0=16-4 $$
となり、\(I_0=2A\) と求められるので、等価電圧源 \(V_0\) は、
$$ V_0=16-4I_0=8 $$
となります。

したがって、求める電流 \(I_1\) は、
\begin{eqnarray}
I_1 &=& \frac{V_0}{R_0+R_1} \\[3px]
&=& \frac{ 8 }{ \frac{4}{3} + R_1 } \\[3px]
&=& \frac{24}{3R_1+4}
\end{eqnarray}
と求まります。

(4)最大消費電力となる \(R_1\)
(3)で求めた \(I_1\) を \(P={I_1}^2R_1\) に代入すると、
\begin{eqnarray}
P &=& \left \{ \frac{24}{3R_1+4}\right \} ^2 R_1 \\[3px]
&=& \frac{24^2}{9{R_1}^2+24R_1+16} × R_1 \\[3px]
&=& \frac{24^2}{9R_1+24+\frac{16}{R_1}} \\[3px]
\end{eqnarray}
\(P\) が最大のとき \( 9R_1+\frac{16}{R_1} \) が最小になります。\( 9R_1 \) と \( \frac{16}{R_1} \) の積は \(9×16\) で一定となるので最小の定理より、
\begin{eqnarray}
9R_1 &=& \frac{16}{R_1} \\[3px]
{R_1}^2 &=& \frac{16}{9} \\[3px]
R_1 &=& \frac{4}{3}
\end{eqnarray}
と求まります。
なお、一般に \(R_0=R_1\) のとき、消費電力 \(P\) は最大となります。
(5)最大消費電力
(4)より \(R_1=\frac{4}{3}\) として計算すると、
\begin{eqnarray}
P &=& \left ( \frac{24}{3×\frac{4}{3}+4}\right ) ^2 × \frac{4}{3} \\[3px]
&=& \left ( \frac{24}{8}\right ) ^2 × \frac{4}{3} \\[3px]
&=& 9 × \frac{4}{3} \\[3px]
&=& 12.0
\end{eqnarray}
となります。
消費電力 \(P(R_1)\) のグラフ
解答では(4)を最小の定理を使って求めました。ここでは微分を使って求め、グラフの概形を示します。
(4)で微分を使った解法
消費電力 \(P\) を \(R_1\) の関数として考え微分すると、
\begin{eqnarray}
P(R_1) &=& \frac{ 24^2 R_1 }{ 9{R_1}^2+24R_1+16 } \\[3px]
\frac{dP(R_1)}{dR_1} &=& \frac{d}{dR_1} \left \{ \frac{ 24^2 R_1 }{ 9{R_1}^2+24R_1+16 } \right \} \\[3px]
&=& \frac{ 24^2 (9{R_1}^2+24R_1+16) – 24^2R_1 (18R_1+24) }{ (9{R_1}^2+24R_1+16)^2 }
\end{eqnarray}
\( \frac{dP(R_1)}{dR_1}=0 \) となるのは \((分子)=0\) のときなので、
\begin{eqnarray}
24^2 (9{R_1}^2+24R_1+16) – 24^2R_1 (18R_1+24) &=& 0 \\[3px]
9{R_1}^2+24R_1+16 – R_1 (18R_1+24) &=& 0
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
-9{R_1}^2 + 16 &=& 0 \\[3px]
{R_1}^2 &=& \frac{16}{9} \\[3px]
R_1 &=& \frac{4}{3}
\end{eqnarray}
と求まり、(4)の結果と一致します。
グラフ概形
\( P(R_1) = \frac{ 24^2 R_1 }{ 9{R_1}^2+24 R_1+16} \) のグラフは以下のようになります。

グラフからも \(R_1=\frac{4}{3} \) のとき、最大値 \(P=12\) を取ることがわかります。