RL直列負荷の力率改善とアドミタンス計算
2021年4月15日
問題
図1の回路において、負荷の抵抗は \(R=3Ω\) 、有効電力は \(600W\) 、力率は \(0.6\) である。また、電源の周波数は \(ω\) である。
この負荷の無効電力は \( \fbox { (1) } \ var\) であり、負荷のリアクタンスは \(ωL=\fbox { (2) } \ Ω\)である。
図2のように、図1の回路の端子 a-b にキャパシタ \(C\) を接続すると、電源から見た回路の合成負荷のアドミタンスは \( \dot{Y} = \frac{R}{R^2+(ωL)^2} +j \left (ωC – \frac{ωL}{R^2+(ωL)^2} \right ) \) となる。図2において電源からみた回路の合成負荷の力率を1とした。このとき、キャパシタ \(C\) のサセプタンスは \(ωC=\fbox { (3) } \ S\) である。
キャパシタ \(C\) を接続して合成負荷の力率を1にした後に、電源の角周波数 \(ω\) を \( \frac{1}{2} \) 倍にすると、電源からみた回路の合成負荷は、力率 \( \fbox { (4) } \) の \( \fbox { (5) } \) 負荷となる。

解答
(1)キャパシタ接続前の無効電力
キャパシタ接続前の回路は誘導性負荷なので、電力ベクトル図は以下のようになります。

有効電力は \(P=600W\) 、力率 \(cosθ=0.6\) なので皮相電力 \(S \ [VA]\) は、
$$ S=\frac{P}{cosθ}=\frac{600}{0.6}=1000 $$
となり、無効電力 \(Q \ [var]\) は、
$$ Q= Ssinθ=S \sqrt{1-cos^2θ} = 1000×\sqrt{1-0.6^2}= 800$$
と求まります。
(2)リアクタンス \(ωL\)
(1)と同様に考えます。キャパシタ接続前の回路の抵抗は \(3Ω\) 、力率は \(0.6\) 、誘導性負荷なので、負荷ベクトル図は以下のようになります。

力率 \(0.6\) なのでインピーダンス \(Z \ [Ω]\) は、
$$ Z=\frac{R}{cosθ}=\frac{3}{0.6}=5 $$
となり、リアクタンス \(ωL \ [Ω]\) は、
$$ ωL= Zsinθ=Z \sqrt{1-cos^2θ} = 5×\sqrt{1-0.6^2}= 4$$
と求まります。
(3)サセプタンス \(ωC\)
図2において、電源からみた力率が1なので、アドミタンス \( \dot{Y}(=G+jB)\) の虚部が0となります。すなわち以下の式が成り立ちます。
$$ ωC – \frac{ωL}{R^2+(ωL)^2} =0 $$
したがって(2)の結果を用いてサセプタンス \(ωC \ [S]\) は、
\begin{eqnarray}
ωC &=& \frac{ωL}{R^2+(ωL)^2} \\[3px]
&=& \frac{4}{3^2+4^2} \\[3px]
&=& \frac{4}{25} \\[3px]
&=& 0.16
\end{eqnarray}
と求まります。

上の図において、\(B=0\) のとき並列接続なので \(B\) にすべての電流が流れそうですが、この回路はインピーダンスではなくアドミタンスで考えています。そのため \(G\) や \(B\) は電流の流しやすさを表していて、 \(B=0\) のときコンダクタンス \(G\) のみの回路となり力率が1になります。
(4)周波数変化後の力率
電源の周波数が \( \frac{1}{2} \) 倍になると、リアクタンス \(ωL\) 、サセプタンス \(ωC\) の値はそれぞれ以下のようになります。
$$ ωL=2Ω ωC=0.08S $$
回路の合成アドミタンス \( \dot{Y}\) は、
\begin{eqnarray}
\dot{Y} &=& \frac{3}{3^2+2^2} +j \left ( 0.08 – \frac{2}{3^2+2^2} \right ) \\[3px]
&=& \frac{3}{13} +j \left ( 0.08 – \frac{2}{13} \right ) \\[3px]
&=& \frac{3}{13} – j \frac{0.96}{13} \tag{1} \\[3px]
\end{eqnarray}
となります。よって力率 \(cosθ\) は、
\begin{eqnarray}
cosθ &=& \frac{ \frac{3}{13}} { \sqrt{ \left ( \frac{3}{13} \right )^2+ \left ( \frac{0.96}{13} \right )^2}} \\[3px]
&=& \frac{ 3 } { \sqrt{ 3^2+ 0.96^2}} \\[3px]
&=& \frac{ 3 } { \sqrt{9.9216}} \\[3px]
&≒& 0.95242 \ \rightarrow \ 0.952 \\[3px]
\end{eqnarray}
と求まります。
(5)電源からみたリアクタンス
周波数変化後のアドミタンス \( \dot{Y} \) の虚部は 式\((1)\) より負です。したがって誘導性負荷であると分かります。

実際にインピーダンス \(\dot{Z}\) に変換すると、
\begin{eqnarray}
\dot{Z} &=& \frac{1}{ \dot{Y} } \\[3px]
&=& \frac{1}{ \frac{3}{13} – j \frac{0.96}{13}} \\[3px]
&=& \frac{13}{ 3- j0.96} \\[3px]
&=& \frac{ 13×3 }{ 3^2+ 0.96^2} +j \frac{13×0.96}{ 3^2+ 0.96^2} \\[3px]
&=& \frac{ 39 }{ 9.9216} +j \frac{12.48}{ 9.9216} \\[3px]
&≒& 3.9308 +j 1.2579 \\[3px]
\end{eqnarray}
となり虚部の符号が正なので、誘導性負荷だと確認できます。
インピーダンスとアドミタンスの誘導性・容量性
等価変換とベクトル図
インピーダンス \(\dot{Z}\) とアドミタンス \(\dot{Y}\) は一般に複素数で表され、逆数の関係にあります。それぞれのベクトル図の対応を考えてみます。
インピーダンス \(\dot{Z}\) を \(\dot{Z}=R+jX\) とします。ここで、\(R\) が抵抗、\(X\) はリアクタンスを表します。アドミタンス \(\dot{Y}\) はインピーダンス \(\dot{Z}\) の逆数なので、
\begin{eqnarray}
\dot{Y} &=& \frac{1}{ \dot{Z} } \\[3px]
&=& \frac{1}{ R+jX} \\[3px]
&=& \frac{R}{ R^2+X^2}+j\frac{-X}{ R^2+X^2} \tag{2} \\[3px]
&=& G+jB \\[3px]
\end{eqnarray}
式\((2)\) の虚部をみると、\(X>0\) のとき \(B<0\)、\(X<0\) のとき \(B>0\) になります。このリアクタンス \(X\) とサセプタンス \(B\) の符号逆転はベクトル図での誘導性と容量性の逆転と対応しています。

この対応により(5)の答えを 式\((1)\) の虚部の符号から判断できます。
また、インピーダンスとアドミタンスを変換しても回路は変わらないので力率は変化しません。そのため力率角 \(θ\) が等しくなり、ベクトル図は相似になります。これは 式\((2)\) がインピーダンス \(\dot{Z}\) の \(\frac{1}{R^2+X^2}\) 倍で虚部の符号が反転していることからも確認できます。